お茶席に行ってきました。
歴史あるお茶室を札幌に移築した建物で行われた席でしたが、茶道って本当に魅力がありますね。
ぐっときたので、後日ブックオフでお作法の本を買って読みました。
ああ、扇子って本来はあのタイミングでああするのか・・・うーむ茶の道は険し。
でも、とりあえず、お茶を点てて飲むことを習慣にしたいと思うのです。
小堀遠州の遠州流茶道
今回の流派は「遠州流」といって、江戸時代の大名である小堀遠州がはじめた茶道です。
遠州流茶道の真髄は、「綺麗さび」と称され、「わび・さび」の精神に、美しさ、明るさ、豊かさを加え、誰からも美しいと云われる客観性の美、調和の美を創り上げたことにあります。
(遠州流茶道サイトより)
小堀遠州は茶道だけでなく、茶室や庭園の設計、華道や七宝など、さまざまな芸術に通じた人物だった模様。
うーむ、それはなにかすごい。
着物と持ち物と心の準備
当日はやわらかものの着物を選び(やわらかもの=染め、かたもの=織り)、懐紙と、祖母の持ち物だったお茶席用の小さな扇子を持って出かけました。
同席するメンバーと会場前で合流し、不慣れなお茶席への不安を語らいます。
「お茶席に足袋の汚れを持ち込まないために、持参したもう一足の足袋に履き替えるらしい」
とか、今さら聞いてもアフターフェスティバル。とりあえず全員で足袋の汚れだけでもチェックです。
そのほか、
- 席順はどうか
- お茶室に入ったあとはどうするか
- お菓子をいただくタイミング
- お茶の飲みかた
- 拝見のしかた
など、ああだこうだと検討します。しかし全員素人のため、無駄な議論です。
趣深くてモダンなお茶席
いずれにしろ、私たちが素人であることは先方もご存知なので、茶道のお作法はそこまで、というか全然期待されていないことでしょう。
ということで結局、謙虚な気持ちだけを持ってお茶室に入ることにしました。
お茶席はそれはもう素晴らしかったです。
細かいお作法について書く勇気は到底ないので、素朴な感想をいくつか。
「和敬清寂」
掛け軸には「和敬清寂」とありました。茶道の心得をあらわす大変有名な言葉だそうで、wikipediaによると
「主人と賓客がお互いの心を和らげて謹み敬い、茶室の備品や茶会の雰囲気を清浄にすること」
だそうです。
お花
西洋のフラワーアレンジメントの華やかさも魅力的だけど、少ない花を組み合わせて空間を演出する日本の生け方もすばらしい。とくに枝や茎の曲線の使い方。花入れの籠もをかし。
七宝模様
調度品の随所に使われていた七宝模様が、あとで考えてみれば小堀遠州ゆかりの模様でした。
お菓子
「菊の着綿」を題材にしたお菓子でした。
これは平安時代の貴族の習慣で、またもwikipediaによると
「重陽の日に菊の花に植物染料で染めた黄色の真綿を被せ、明くる早朝に朝露を含んだ綿を菊より外し、その綿で体を拭えば菊の薬効により無病であるという。」
うーむ、菊の朝露。雅なり。
モダンな道具類
これは感銘を受けました。固定したイメージを持っていたのですが、今回のお道具類ときたら。
水を入れておく水指(みずさし)は瑠璃色のガラス。
七宝模様の線を組み合わせて丸く作った金属のオブジェは、なんと蓋置。
お茶碗も涼しげなガラス製で、中に金箔が散らしてあってきらきらします。
極めつけは、本体がガラスで蓋が柿の木の棗(なつめ)。棗って、漆器じゃなくてもいいんだ!
今回のお席はぎりぎり夏といえる気候の中で設けられたものだったので、ガラスや金属で涼しさを演出してくださったわけですね。美しい!
ただ湯をわかし茶をたててのもうと思います
いろいろと美しくて面白くて、茶道を習ってみたいなと思いました。
教室に通ってお作法の意味も知りたいところですが、点てて飲むこと自体も好きなので、フランスでも自分でせっせと点てています。
いつかパリの蚤の市であれこれ探して、フレンチアンティーク綺麗さびなお茶箱(お道具一式を入れておく箱)を組んでみたいものです。
ところで以前、パリの裏千家で習っていたお友だちが、お薄にマロングラッセが合うと教えてくれました。
なるほど、甘納豆のようでおいしいです。