このごろ、歌舞伎が大好きです。知れば知るほど面白いです。
年に一回ぐらいしか東京に行けませんが、そのたびに歌舞伎座に行って、少しずつ歌舞伎経験値を積んでいます。
私も初心者ではありますが、数回行ってみて多少は勝手がわかってきたので、私なりの「歌舞伎座の楽しみ方」をまとめてみようと思います。
だって面白いからみんなにも行ってほしいんだもん。
ということで、内容は以下の通りでございます。
座席の選び方
はじめて歌舞伎座に行く前にネットで調べたところ、
- 一等席と二等席は役者の表情が見やすい
- 3階の席は遠いし花道もほとんど見えない、けれど舞台全体が見渡せる
ということがわかり、実際に行ってみたところそのとおりでした。
私はこれまでに
- 3階A席
- 3階B席
- 幕見席
に行きましたが、この中ではやはり3階A席推奨です。3階A席に比べると、3階B席は傾斜が気になるし舞台も遠い印象があります。
幕見席は通しでなくて一幕だけを一番後ろで見られるので、ニーズによってはここもあり。
もちろん、本当は一等席や二等席で花道が見たいですが、一等二等と3階の間には深くて長い川があります。
むこうに渡る手段はもちろん財力です。
幕間のお弁当あれこれ
歌舞伎見物の楽しみのひとつは幕間のお弁当です。
いくつか試してみて、私は辨松がいいかなと思っています。
木挽町辨松
歌舞伎座の向かいにある「木挽町辨松」の「赤飯弁当2番」が好きです。
もちもちのお赤飯に魚の味噌焼き、たまご焼き、うまに、いかの佃煮的なもの、奈良漬といったなかなか渋い内容なのですが、これがとてもおいしい!
おかずの甘辛い味付けがごはんとぴったり合います。口内調味の妙よ。
おかずのラインナップといい味付けといい、他で同じようなものが食べられないところも魅力的です。
しかもお値段が粋。
木挽町辨松
東京都中央区銀座5丁目14番1号
【追記】2020年4月20日をもって閉店しました。どうにか復活を待ってます!
銀座白金や
歌舞伎座の右隣に、「銀座白金や(ぷらちなや)」という素敵なお店があります。
ここにはいろいろな味の一口いなり寿司があり、具は柚子、ごぼう、しそ、ぜんまいなど、日本人の幸せを感じるチョイスです。
いなり寿司には松の葉があしらわれており、品がよくておしゃれ。
お会計の間にカウンターの脇をふと見ると、顧客の名前がずらりと並んでおり、歌舞伎役者の名前もたくさんありました。
銀座白金や
東京都中央区銀座4-13-16
歌舞伎座地下2階・やぐら
もちろん歌舞伎座内でもお弁当が買えます。
地下2階の木挽町広場にある「やぐら」にはバリエーション豊かなお弁当が揃っています。
スタンダードなものが好きな人はここがいいかもしれません。
予習なしでも楽しめる
はじめて歌舞伎座に行った時は、なんの予習もせずにちらしでざっくりあらすじを読むぐらいのレベルだったので、「話についていけるかなあ」と心配していましたが、面白かったです!
初めてでもけっこうわかるものですね。
寺子屋を見たのですが、松王丸が実はあの人のあれだったとか、見ていればちゃんとわかる。
それにしても歌舞伎の舞台装置と衣装は、デザインも色彩もすばらしい。
なんて洗練されてるんだ日本、と突如日本贔屓になります。
終演後はぜひ正面から
幕引き後は、歌舞伎座内から東銀座駅にそのまま降りられます。
しかし、そうすると正面出入口でお客様を見送る奥様たちが見られません!
なので、ここは一度正面から出ましょう。
ああ、あそこにいらっしゃるのは菊五郎さんの奥様、それから吉右衛門さんの奥様にお嬢様。雑誌「美しいキモノ」で見たまま!
素人の感想
僭越ですが、ここで素人の感想をいくつか。
素晴らしかった演目
- 菅原伝授手習鑑 寺子屋
- 巷談宵宮雨
- 楼門五三桐
あまりたくさん見ていないのですが、この三つはとりわけ面白かったです。
「寺子屋」は結末で驚いて悲しくなり、「巷談宵宮雨」はコミカルだけど怖ろしく、「楼門五三桐」は三味線もセットも衣装も素晴らしすぎて度肝を抜かれました。
好きになった役者
- 尾上菊五郎
- 中村吉右衛門
- 尾上松緑
- 中村米吉
あまりたくさん見ていないのですが、生で見てとりわけ魅力的だった人たち。
菊五郎さんは顔も声もよくて、なにをやってもかっこいい。
吉右衛門さんは動きとポーズが浮世絵のように決まっていて、むかしの美しさを感じました。
松緑さんは名前しか知らなかったんですが、生で見たら粋できりっとしていてぐっときました。
女形の中村米吉さんは存じ上げていませんでしたが、とにかくきれいで、本当に女の人が出てきたのかと思うほどでした。明らかに輝いている!
歌舞伎入門おすすめ本
最後に私のおすすめ歌舞伎テキストを。
「大向うとゆく 平成歌舞伎見物」です。
歌舞伎には、舞台に客席から声がかかる「大向う」という独自の文化があります。
この本は、「大向う」について知ることが歌舞伎の演目と役者を知ることにつなげてあり、この「大向う」というやりこんだ観客目線がすごく面白いです。
見物前に「名優の横顔」や「名場面の風景」で予習するもよし、見物後にいろいろと思い返しながら復習・補完するもよし。
著者の歌舞伎愛がぐいぐい伝わってくる、とてもいい本です。
役者の情報はやや古くなっていますが、歌舞伎を見ていればきっと昔のことまで掘り下げたくなってくるので、かえって勉強になっていいものです。