PhiloFrance フィロフランス

語学力ゼロでフランスに渡ったどさんこが、いかにしてフランス語を学習し、フランス社会を観察し、フランス生活に適応していくかの記録。

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「三文役者あなあきい伝」殿山泰司だって泰明小学校出身です

   



泰明小学校といえば、あの殿山泰司の出身校じゃないですか。泰司の泰明小学校か、と妙に納得したものです。

いいですよね、殿山泰司。エッセイが抜群におもしろい。一般的に彼のメインのキャリアは俳優なんでしょうけど、私はこの人の本が好きだったなあ。こちらに持ってきていないのでしばらく読んでいないけど、読み返したいなあ。

1989年に亡くなっているので最近はあまり名前を聞きませんが、殿山泰司というのは、銀座で育って役者になって、自分で三文役者って言って芸術的な映画からポルノ映画までなんでも出て、お墓は奥さんのところともう一人の女性のところの二箇所にあるという人です。

その破天荒な人生を「ガキ」の頃からふりかえる自伝。文章も自由自在で独特です。

表紙イラストのとおり禿げ頭にサングラス、それにジーンズがトレードマークのお洒落で、それ以外の服装が要求される冠婚葬祭に列席するのはやめたと書いていた気がします。

この時点で彼の「あなあきい」加減が伝わってきますが、もちろん服装だけでなくて人生にもスタイルがあったんですよね。それが本を読んでいるとびしびし伝わってきて面白かった。

「コウちゃん行こうッ!」と言って一緒にあそんでいた、仲の良い弟が戦死してからは

「日本帝国の糞ったれ。あ、いけねえ、鉛筆が折れてしもうたがな…」

という調子で、日本帝国への怒りがしばしば激しく噴出します。

出征前の遊郭で女の人に「死なないでね」と言われた話を書いていたのはこの本の中ではなかったかしら。もちろん当時の世の中でそんなことを言っちゃいけないんだけど、それを言ってくれたのはどこか小さな町の敵娼だったんですよね。そのことをいつまでも覚えていて、その町を再び生きて訪れる殿山泰司。

彼のエッセイには旧遊郭めぐりなんてのもありますが、これもまた良い。もしかして上の話はこっちの本だったかな。

函館の温泉で「ジャリ」どもに「オジイチャン」と言われて、「オジイチャンに見えないように俺がどれだけ頑張ってるかわからないのか!」と怒り、空の彼方でぼんやりとまたたく星に、「星のくせにキラキラしろ!」とまた怒る。

おかしくて笑ってしまうけど、このふざけた口調は殿山泰司の照れ隠しですね。彼は破天荒でやりたい放題だけど、内面は含羞ある繊細な人という感じがする。

こんな自由で繊細な人を私は「すてきな人間」だと思うんですが、泰明小学校は子どもたちにお揃いのアルマーニを着せてどんな人間に育てるつもりなのだろ。

 

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