PhiloFrance フィロフランス

語学力ゼロでフランスに渡ったどさんこが、いかにしてフランス語を学習し、フランス社会を観察し、フランス生活に適応していくかの記録。

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森瑤子著「デザートはあなた」今読んでもおいしくて面白いです

   




食にまつわるエッセイが好きでよく読みます。これは小説だけど、料理が題材になっていてときどき読み返す一冊です。

森瑤子さんの著作って、あまり読み継がれてない感があってちょっと寂しい。バブルの頃の華やかな印象が強すぎるのかなあ。

時代が変わっているとはいえ、この本なんか、今読んでもおもしろいと思うんですよね。

料理上手な主人公・大西俊介が、女性を手料理でおもてなしするという短編の集まりです。

これがまた、料理のところを読んでいるだけでおいしい。帆立貝のシノワ風、鱒のルイベ、中華粥、羊の丸焼き、それから忘れちゃいけないサーディン丼!

そうだ、サーディン丼のレシピだけでこの本の値段分の価値はあります。

これは森瑤子さん自慢の一品で、弁護士の木村晋助さんにも披露して絶賛され、しかしどんなにリクエストされてもおかわりには応じないのがコツであるとエッセイで書いていました。細部が違っていたらごめんなさい。なにしろ森瑤子さんの本をさかんに読んでいたのは10代のころの話なので。

というわけで料理のところだけでも面白いのですが、その他の設定や小道具もなかなかです。多彩なジャンルの音楽、絵画や写真、車やバイク、それから素敵な女性たちに個性的な親友。

主人公と付き合いの深い女性たちは、みんな経済的にも精神的にも自立していて、だいたいが打ち込める仕事を持っています。

この本が出たのは1991年だから、女性の結婚適齢期が25歳で、それを過ぎたらクリスマスケーキと同じで売れ残りなんて言われていた頃ですよね。その時代に、登場人物の女性たちにことごとく仕事をもたせて自立させているところが素晴らしい。

男女をとにかく同じフォーマットにはめ込む平等ではなくて、それぞれの個性や魅力を保ちながら対等な付き合いができるほうが、画一的な平等よりも素敵ですよね。男女も平等、年上も年下も平等、外国人も日本人も平等、森瑤子さんの本からはそんな印象を受けます。

ところでサグラダ・ファミリアの彫刻家のモデルはやはり外尾悦郎さんなんですね。その彫刻家を支援したくて試行錯誤する主人公と、それを絶妙な距離感で見守る友人も、「そうだそうだ、こういう大人になりたいものだよな」と思わせてくれます。

やっぱり森瑤子さんの本は勉強になるな。10代のころにこういう本を読めてよかった。

この小説はドラマ化されており、といいつつ私はリアルタイムではありませんが、youtubeで見ると親友役の忌野清志郎が最高です。

 

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