『国宝』エンタメとしておもしろい映画だけど音楽の演出が過剰では

『国宝』エンタメとしておもしろい映画だけど音楽の演出が過剰では

映画『国宝』を見てきました。

今夏日本に帰っている時点で話題になっていましたが、同居人と見たかったので、フランス公開を待っておりました。

それで、見てきたところ、見事に感想が同居人と一致しました。

一言でいうと、「傑作ではないが、おもしろかった」です。

 

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歌舞伎感のたのしさ

歌舞伎舞踊などをほぼ習ったことのない一般人からすると、歌舞伎パートは美しかったです。

引抜きというのでしょうか、衣裳の替わるのを見せるのが好きだなあ(笑)とは思いましたが。

舞台上の台詞も、映画であるからか、大変聞き取りやすい。

それから、舞台化粧をかなり近くまで寄って見られるのも、映画ならではという感じでおもしろかったです。

 

映画で歌舞伎感、ひいては日本の文化を味わいたい、という欲求は満たされました。

 

気になったところ①音楽

同居人と満場一致で、一番残念だったのは、音楽です。

!舞台上で素晴らしい踊りを披露しております!

というときに、長唄にかぶさって映画音楽が流れ出し、音量が上がり、長唄を掻き消すのですが、これが過剰です。

「今感動するとこですよーーー」

といわんばかり。

そうじゃなくて本来の音が聞きたい。

踊りと音楽は一体であるからして、本来の音楽で盛り上がりたい。

ああいう感じの映画音楽で観客の心情を盛り上げようとするのは、ちょっとイージーすぎではないか、というのが場内(定員2名)で一致した意見です。

 

気になったところ②ラストシーン

鷺娘の公演の終了とともに映画も終わるのかな、と思っていたのですが、そのあとでもう少し続いたのです。

「ウッここからまだ続くのか、大丈夫か、説明過多にならないで終われるのか」

と勝手に心配していたのですが、隣で見ていた同居人もどうやら同じことを思っていたようです。

 

結果、まあまあ心配した甲斐があったと思います。

いや、雪を見せたかったんだとは思うんです。

トラウマを乗り越えて、雪に再び美しさを見出せるようになったことを見せたかったんだろうな、とは思う。

しかしそのためにラストが説明過多気味で冗長になったような気がする。

それと、最後のほうでお顔がアップになったと思いますが、ああいうのもイージーかと。

 

あと、最後の台詞のフランス語字幕が「Manifique」だったんですよね。

いやそこは「La beauté」的な、原語通り「美しい」のニュアンスが入ってなきゃダメじゃないのか。

「すばらしい」と「美しい」は違うじゃないですか!

でないと、人間国宝の美しくない部屋のくだりとか、意味が薄くなっちゃうじゃないの。

これは映画そのもののことではなくて、字幕の話なのでアレですけれども。

 

気になったところ③長さだの、女子だの

見ているあいだは、たのしくて、長さを感じませんでした。

しかし、「あのエピソードもっと短くても良かったんでは」みたいなところもときどきありました。

 

あと、女子ってかなり脇役ですね。

なんであの子は突然あっちに走って行ったのだろうとか、あの子はその後どうなったのであろうとか、全然わかんなかった。

ついでにいうと、娘の独白シーンもちょっと長かったうえに内容もイージーだった。突然の大団円。

まあなんというか、寺島しのぶ以外の女性はそれほど重要でないというか、掘り下げる必要がなかったのであろうと理解しました。

逆に、寺島しのぶの説得力よ

 

まとめ

好き勝手なことを散々言っておいてなんですが、基本的にはおもしろかったんですよ!

ところどころイージーだった気がするだけで。

冒頭の長崎ぶらぶら節もよき!

昭和の生活、つまり調度品だとか車だとか、ファッションもよき。

それから、世襲や血縁についての問題提起もそりゃあ大事です。

むしろ、監督(商業映画3本目)の過去作にそういうことを掘り下げている作品があるに違いないと気になるよ。

 

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