フランスに来てから、ハーフの子どもと会う機会が増えました。
パリではそれぞれ違う国籍を持つカップルも多いし、移民も多いので、子供のルーツもいろいろです。
そこで気になってきたのが、日仏ハーフの子どもの言語能力。
フランス社会で育つ彼らが、どのようなやりかたで日本語を身につけるのか、最近けっこう観察してます。
その中で、「バイリンガルを育てるために最低限これは必要かも」という要素を発見したので、フランス語を例にとりつつメモしておきます。
バイリンガル子育て①両親が話す言語を分ける
赤ちゃんのうちから両親がそれぞれの言語で話しかけるのはやはり大切なようです。
しかしここで注意したいのは、一人が複数の言語を混ぜて子どもに話しかけないことだそう。
たとえばお母さんが日本語担当の場合、お母さんと子どものあいだの会話は基本的に日本語のみ。
でないと子どもが言語を正しく区別できずに混乱する可能性があるようです。
確かにルー大柴みたいな話し方がデフォルトになったら社会生活がちょっとディフィカルトですもんね。
また、子どもが理解できないからといって言語を切り替えてあげるのも良くないそう。
そうすると得意なほうの言語ばかり使うようになってしまうようです。
バイリンガルの子育て②地道な努力
日仏バイリンガルになるのは「フランス語+ヨーロッパの他言語」のバイリンガルより大変で、地道な努力が必要だそうです。
というのも、フランス語と日本語は全然似てません。
日本語話者にとっては、フランス語は文法から語彙からなんのとっかかりもない言語だし、フランス語話者にとってもそれは同じで、彼らにとって日本語の特に凶悪なところは「読み書き」だそう。
「日本語のアルファベット(ひらがなとカタカナ)は多すぎる」「そのうえ膨大な漢字を覚えないと新聞すら読めないとかどうかしてる」というのがフランス人からの主な苦情。
それに比べると「フランス語+ヨーロッパの他言語」の場合、バイリンガルになるハードルはもうちょっと低いと思います。
ヨーロッパの言語どうしはある程度までさかのぼるとルーツが共通してるし、単語も共通してたりするし。
っていうか漢字を覚えなくてもいいですもんねえ。
バイリンガル子育て③話すための環境づくり
日本語でスムーズに会話できるお子さんもいれば、日本語での問いかけが理解できていても、必ずフランス語で答えてくるお子さんもいます。
こういった話す能力の差は、日本語しか使えない環境にどれだけいるかの差のような気がします。
「夏休みを日本で過ごしたらすごく日本語がうまくなった」という話はよく聞くので、フランス語で話しても通じない状況を定期的に持つと効果的なようです。
フランスにあってもきっちり日本語環境をつくっている家庭のお子さんは、やはり上手です。
小さいうちに定期的にこういった環境を作って、言葉がある程度のレベルになるように親が取り計らっておくと、のちのち楽かもと見ていて思います。
得意な言語と不得意な言語の差が広がってくると、不得意なほうの言語を使うのがどうしても億劫になるでしょうしね。
バイリンガルは努力の賜物
国際カップルの子どもや海外に住んでいる子どもは自動的にバイリンガルになるというイメージがありましたが、現実はそう単純でもないんですね。
親も子も、環境を整えたり学習したりという努力は不可欠のようです。
しかし教育のしかたによっては、どちらの言語も満足に使いこなせないという悲劇も起こるそう。
言語能力は思考能力でもあるため、子どもの未来のためには、言語教育のやりかたをよく考えたほうがよさそうです。
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