ソルボンヌ・ヌーヴェルの語学講座にはフランスの歴史や文化の授業は特にありませんが、教材の選び方でそういう話になることもあります。
先日は差別をテーマにした授業。
身近なこともあって、女性差別と妊婦差別に多く時間を割いていました。
フランスで女性が様々な権利を獲得するまでの道のりも説明してくれたのですが、女性が自由になったのってけっこう最近なんですね。
日本とフランスで女性参政権が認められたのも1945年で同じ年なのに、どこで今みたいな差がついたんだろ。
女性に厳しい20世紀前半のフランス
ざっくり年表でアレなんですが、授業の本題は語学なもので。
- 1907年 既婚女性が自分たちの収入を自由に使えるようになる(それ以前は夫のもの)
- 1914-18年 第一次世界大戦。徴兵された男性の代わりに、女性が労働に進出
- 1938年 大学進学が女性にも開かれる。身分証明書とパスポートを夫の許可なしで持てるようになる
- 1945年 女性の選挙権が認められる
- 1968年 五月革命。女性の権利が広がってより自立が進む
こうしてみると、フランスの女性もいろいろ制限されてますよね。
収入が夫のものって…ジャイアニズムじゃん。
身分証明書とパスポートを持つのにも夫の許可が必要だったとか、それがたったの80年前だとか、なかなか衝撃の事実です。
日本の戸籍制度って、あれっ
先生が「女性は若いうちは父親、長じてからは夫と、常に男性に紐づけされていました」と言うのを聞いて「フランス案外最近まで家父長制度(笑)」と思っていたのですが、
「あれ?現代日本の戸籍って同じじゃね?」
あああ、未婚だとお父さんの戸籍で、結婚したらほぼ夫が戸籍筆頭者になってその中に組み込まれる!たいがい男性に紐づけされてる!
笑えない全然笑えない。
このシステムって人間が平等じゃないですよ、もはや過去の遺物じゃないですか。
五月革命で女性の自由が拡大
そんなこんなでフランスの女性といえども昔から自由ではなかったわけですが、今日の彼女たちには「五月革命」の大きな影響があるようです。
五月革命は1968年5月に学生を中心にして始まり、労働者にも広がって、政治や文化、古い体制、人々の意識に変化をもたらした社会運動です。
女性にまつわる意識も変わり、収入を得て自立するようになった女性たちは、恋愛や結婚についても自分の意思で決めるようになったため、結婚の件数もこのあたりから減ってきたとのこと。
「五月革命以前じゃあるまいし、フランス人女性は寝るときにパジャマなんて着ないよ」
とフランス人が言うのを聞いたことがあります。
ちょっと話を盛ってるのかもわかりませんが、解放された感じは伝わりますね。
フランス女性もはじめから自由ではなかった!
自由なイメージのあるフランスの女性たちですが、ここ100年間で劇的な変化が起きていたようです。
彼女たちの現在の自由は、決して決して棚ぼたではないんですね。
そういうわけで、現代のフランス社会を知るうえで五月革命は避けて通れないみたいです。「五月革命以前」「以後」といった視点での話も多々なので、概要はつかんでおきたい。
(個人的には、日本は女性の意識や自立について、フランスでいうところの五月革命以前の状況かもと思うこともあります。男子に媚びる「モテ」に怒れ、日本女子!)
コメント
[…] 彼女たちはきちんと闘って勝ち取ったんだー、と思うとやはり尊敬に値するわーと思うのです(フランス女性の権利獲得と自立についての記事を見つけました)。 […]
コメントありがとうございます。
もとから自由なお国柄かと思いきや、きちんと闘って勝ち取った歴史がありました。意外性を感じつつ、日本人として考えさせられますね。