PhiloFrance フィロフランス

語学力ゼロでフランスに渡ったどさんこが、いかにしてフランス語を学習し、フランス社会を観察し、フランス生活に適応していくかの記録。

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伊丹十三の「ヨーロッパ退屈日記」「女たちよ!」が抜群におもしろい

      2018/02/04




img_4855(曽祖父が1961年頃に撮った写真。伊丹十三の渡欧も同じ頃だろうと思う)

伊丹十三監督の「たんぽぽ」がパリの映画館で上映されていたのは去年の冬でした。「ラーメン屋の話かあ」ぐらいのテンションで見に行ったらもうあなた。人生のあらゆる側面を「食べる」という視点から切り取ったオムニバス的な、なんかすごい映画でした。

その後ふと、伊丹十三のエッセイ「ヨーロッパ退屈日記」「女たちよ!」「再び女たちよ!」を読んでみたのですがもうあなた。豊かな知識と鋭い観察と限りなく黒に近いグレーなユーモアが非常に面白いエッセイでした。

 

俳優だったことを知りませんでした

私は伊丹十三を映画監督としてしか知りませんでしたが、若き日の伊丹十三はデザイナー、その後俳優、エッセイストだったそうです。本の装丁もご本人の手によるものがあります。

1960年代に俳優の仕事のためヨーロッパに滞在した経験が「ヨーロッパ退屈日記」というタイトルで本になり、当時としては斬新だった文体は、現在のエッセイのはしりと言われています。こんなに重要な作品を今まで知らなかったとはなんてこった。

ちなみに本になる前は壽屋(現在のサントリー)の広報誌、あの「洋酒天国」での連載だったそうです。なるほど!

 

あんまりおもしろくてChapeau ! (脱帽)です

伊丹十三の考え方、嗜好って魅力的ですね。頭が良くて趣味もいい。そのうえとても繊細なところあり。

実用的な知識が満載

伊丹十三のセンスで選ばれたエピソードと考察、外国人向けハラキリの詳細な説明、スパゲティの正しい作り方、犬の歯を根こそぎ抜く方法、耳にバナナが詰まっている紳士の話など、明日から使える実用的な知識が満載です。

贅沢しているのに下品じゃない

ジャギュアやロータス・エランといった高級車を買ったり、服を買うためにあちらへ行ったり、靴を買うためにこちらへ行ったり、手袋を買うためにそちらへ行ったり、上質なもののためにイギリス・フランス・イタリアをまあ縦断してます。

高級品の話に終始したらそりゃあ鼻につくだろうと思いますが、それ以上に興味深い人との会話であるとか、心惹かれる知識や経験が随所に盛り込まれているので、全体としてぜんぜん嫌味じゃありません。

外国語と外国人にたいする感性

ヨーロッパでは英語でコミュニケーションをとってらしたようですが、外国語を話すときに感じる劣等感の考察なんか非常に的確です。考えていることのレベルには大差がない場合でも、あちらが母語でこちらが外国語というだけで、相手が先生のように上の存在に思えてくる不思議。

外国人についての「わたくしにとって、彼らは、一個の人格である以前に、外国語そのものであるように思われる」という記述もすごく共感できます。使う言語によって人格が違うという研究結果もあることだし、OSが違うためにしんから理解できないことってあると思う。

 

本日の三冊

この三冊はどれもお気に入り。ブックオフに売りません。「女たちよ!」の最後にある「配偶者を求めています」の箇条書き項目がロリコン項目を除いてだいたいツボで、時々ひらいてにやにやします。

 

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