初心者がクラシック音楽に入門するためのガイド本
- 2020.04.28
- 本の感想

さすがヨーロッパというかパリというか、こちらで暮らしているとクラシック音楽が身近です。
会話にもときどきこうした話題が出てくるのですが、私は門外漢(漢ではない)なので、いつも残念な気持ちになります。
古典派、ロマン派、バロック、対位法etc、意味がわからない。
でもせっかくだからもうちょっとわかりたいと思って本を読みました。
いやおもしろかった。これは素晴らしい本です。
クラシック音楽に入門したい人はまずこれを読んだらいいと思います。
千年にわたる西洋音楽の歴史を簡潔に
この本のなにが素晴らしいかというと、今までキーワード単位でしか知らなかったことが、時系列的にすっきり整理されることです。
頭の中でごちゃごちゃになっていた音楽室の後ろの作曲家たちの顔が、
バロック、そのあとが古典派、それからロマン派…
というふうに、時代に沿って整理されます。
あの頃は「ベートーベン超厳しそう」「バッハのかつら」とかどうでもいいことばかりで、時系列とか作曲スタイルの変遷とか全然考えていませんでした。
思えばうかつだった我が人生。
ところで、バロック音楽の前にはグレゴリオ聖歌があります。
西洋音楽のスタートは教会音楽だったのだなあ、と感心いたしました。
初心者の曲選びガイドとしても役立つ
時代ごとの代表的な作曲家の紹介があり、もちろん彼らの代表作にも言及があります。
初心者はとりあえずこれをたどって聴いていけばいいと思うんだ。
単純に曲目リストがあるだけだと、いまいちやる気が出ないものです。
でも、その曲が書かれるに至った背景であるとか、作曲者の個性なんかの説明があると、とっかかりがあってとても助かります。
「リヒャルト・シュトラウスはとにかく冒頭で聴衆の心を掴みにかかる」
と言われたあとで『ツァラトゥストラはかく語りき』を聴くと、この人は
「俺は最初からクライマックスだぜ!」
の人だということが、たしかによくわかります。
(最後までクライマックスではなくていわゆる「出オチ」タイプのようです)
音楽の成り立ちを理解するには社会背景も重要
この本の内容の軸はもちろん西洋音楽史ですが、そのときどきの社会情勢の話も出てきます。
音楽と、その音楽が生まれた社会背景は切り離すことができません。
なんの目的でだれに向けてその音楽が書かれたかという背景によって、音楽の方向性がある程度決まります。
この本による解説を読むと、音楽が生まれた背景までわかり、とても面白いです。
素晴らしい演奏をわかりたい
あとはいろいろ聴いてみて、耳を育てるべきですね。
外出制限が終わってイベントが再開されたら、コンサートにもいろいろと行きたいものです。
ところで、クラシック音楽のコンサートって、楽章と楽章の間では本来、拍手をしないそうですね。
私はクラシックを聴いても未知との遭遇がほとんどなので、クラシックに詳しい同居人が拍手するタイミングで拍手します。
でも、有名どころぐらいはもうちょっと自分でわかるようになりたいものです。
-
前の記事
モンティ・パイソンを万人にはおすすめしませんがおすすめします 2020.04.27
-
次の記事
年功序列で男尊女卑の日本型雇用システムはもう時代遅れ 2020.05.15
コメントを書く