ミニマリスト的考えかたが好きなもので、『フランス人は10着しか服を持たない』を読んでみました。
この本が売れた影響で、日本の友だちや知り合いに
「フランス人って本当に10着しか持ってないの?」
と聞かれたこともありましたが、答えは
「そんなことないと思う」
です。だって人によるし、この本に出てくるホストファミリーって特殊だもの。
原題は全然違う
そもそも、この本の原題は『Lessons from Madame Chic(マダムシックのレッスン)』です。
これが日本で『フランス人は10着しか服を持たない』というタイトルになると。
なるほど、原題だとタイトルと内容がぴったり合ってます。
邦題はうまいことつけられてますね。
マダム・シックの家庭は一般的ではない
この本の内容は、著者がパリにホームステイをした時の体験談がベースになっていますが、しかし極端な家庭に当たったものです。
こんなご家庭パリにどれだけあるんだろう。
そりゃあ、あることにはあるでしょうし、特に7区と16区はお金持ちが多くてわりとこういう雰囲気らしいですけどね。
特殊ポイント①手のかけぐあい
とにかく、ホストマザーであるマダム・シックの、家事や食事への手のかけかたがすごいです。
なにしろ
- 朝食:前日の手作りタルトの残りや自家製ジャムなど
- 夕食:最低3品のコースとお手製デザート
- 買い物は毎日
ですよ。フルタイムの仕事を持つ人はこんなことできません。
それに私のまわりのフランス人は、そもそも買い物にあまり時間をかけたがりません。
買い出しは何日ぶんかまとめて済ませて、そのぶんの時間を他のことに使いたいと思っている人が多いです。
特殊ポイント②家庭環境の保守的さ
著者のホームステイした家は、私からするとなかなか保守的な印象です。
「基本的には家事に専念する妻」というのはやはり少数派だと思う。
とくにパリだと、男女ともに経済的に自立して対等でいることが重要視されている気がするし、ほとんどの人はフルタイムで仕事してるんじゃないかな。
それから、マダム・シックのおいしい料理のほとんどがフランス料理で「外国料理はあまり作ろうとしなかった」というのも、コスモポリタン的な現代のパリではなかなか保守じゃないかなあ。
それでも参考になります
そういうわけで、本に出てくるご家庭は「ある特定の家庭」であって、大多数のフランス人はこういう生活はしてないと思います。
しかしこの本の主目的は「シンプルで上質な生活」ですしおすし、そういう意味では参考になるところがたくさんあります。
私はこの本に紹介されているアイデアで、
- 一番いいものを普段使いにする
- いつもきちんとした装いをする
- ものを買わない
- おやつを食べるなら体にいいもの
こういうところが好きです。
きっと、昔の日本もこういう暮らしだったんじゃないかな。
しかしアメリカ流大量生産大量消費文化のなかで育った私たちは、もはやアメリカ人の著者と同じように、マダム・シックの暮らしぶりに感心できてしまうってことかもしれません。
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